以前、RPA(リモートPCアレイ)とブート型USBメモリについて紹介させて頂きました。
コチラの記事
「RPA」は「ロボティック・プロセス・オートメーション」を意味する場合もありますが、今回の記事ではそちらではありませんのでお間違いの無いように。
前回の記事では、実際に使用した感じや課題などについては触れていませんでしたので、今回はその点について整理したいと思います。
まずは改めてRPAとブート型USBメモリについてご紹介します。
RPAとそのメリットとは
RPAとは
RPA:リモートPCアレイとは、1Uの筐体に複数の物理PCカートリッジと仮想デスクトップに必要なコンポーネントを搭載したリモートアクセスソリューションです。
通常皆さんが利用しているパソコンを集合させ、それをデータセンター等に設置し集中的に管理するイメージです。
RPAの主なメリット
このRPAを使うメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- RPAの中身は通常のパソコンですので、VDI環境特有の知識を必要としない。
- 1ユーザにつき1台のカートリッジ(パソコン本体)を物理的に割り当てるため、他ユーザの利用の負荷干渉がない。
- 社員が手元で利用する端末はシンクライアントとすることで、いままで個々の設定が必要だったものが、シンクライアントに変わることで、個々の設定が不要となる。
ブート型USBメモリを使うメリット
ブート型USBメモリは、パソコンのUSBポートに刺して利用するものです。
パソコン内部のハードディスクやSSDを利用せず、USB内部にあるLinuxOSが起動し、利用するパソコンが疑似的なシンクライアントになります。
さらに、リモートデスクトップの機能を用いて、データセンター等に設置してあるRPAに接続するためのツールです。
このブート型USBメモリを使うメリットは以下のとおりです。
- WindowsOSやMacOSでは、ウイルス感染による情報漏洩や不正アクセスの脅威がありますが、LinuxOSであればそのリスクは大幅に下がる。
⇒高いセキュリティが確保される - 個人所有のパソコンが利用できるため、低コストでの導入が可能になる。
- USBメモリ自体は小さくコンパクトのため持ち運びが容易!
(仮に紛失しても利用するためのパスワードがあり、データ自体の書き込みもできないため情報漏洩の可能性も無い)
RPAとブート型USBメモリを組み合わせた使い勝手は?
ということで、ある組織でRPA環境を昨年初めから使い始め、ブート型USBメモリは先月(3月)初めから利用を開始しました。
実際に使い、運用した上での状況等についてご紹介します。
RPAの使い勝手
RPAはFAT端末の置き換えとしてセキュリティの向上やテレワークを意識して導入し、RPAはデータセンターに設置し、社員が利用する手元の端末については全てシンクライアントとしました。
設定はどの端末も同じです。
シンクライアントを起動し、リモートデスクトップで接続する先が社員ごとに異なり、一人に一台を準備したRPA内の端末に接続するイメージです。
起動するためには接続先の端末名又はIPアドレスを入力し、さらにID・パスワードを入力する必要があり、今までのFAT端末と比較すると若干手間は多いですが、慣れるとそれほど苦にはなりません。
手元端末はシンクライアントですので、会議室でもシンクライアント+大型ディスプレイ、またはシンクライアント+プロジェクタを設置し、画面を見ながら会議を行うことができます。
その際もシンクライアントからRPAの自身の端末にアクセスしますので、自分のデスクトップがそのまま利用できます。
そのため、データの持ち運びも不要で、スムーズに会議の開始/終了ができるようになりました。
また、営業所や支社への出張の際でも、不在の社員のシンクライアントを利用してRPAに接続することで、自分のデスクトップが利用できますので、端末を持ち歩く必要もなくなりました。
ブート型USBメモリの使い勝手
次にブート型USBメモリ(商品名:セコムあんしんテレワーク)の利用ですが、弊社では自宅でのテレワーク用に利用しています。
当初ノートパソコンの配布も検討しましたが、ノートパソコン自体のコストもそれなりにしますし、そのノートの持ち運びにも大変ですし、紛失のリスクが無いわけではありません。
その点、ブート型USBメモリであれば持ち運びは非常に簡単ですし、紛失しても何もデータ入っていませんのでリスクはありません。
課題としては、利用端末は個人が持つ端末を利用しますので、USBブートするための設定が難しいこと、また、無線LANインターフェースが認識しない場合もあり、利用が難しい端末がある事も事実です。
しかし、実際に様々なノートやデスクトップPCで試してみたところ、8~9割の端末ではほぼ問題なく動き、無線LANも認識、快適に利用できることがわかりました。
一般的なブロードバンド環境⇒数10メガ帯域の回線であればレスポンスは全く問題ありません。
スマホのテザリングを利用したアクセスの場合、若干レスポンスが悪くなりますが、使えない事はないレベルで利用可能です。
ざっと紹介させて頂きましたが、コロナ禍の中で、社内だけでなく、自宅や外出先からの業務実施は必要最低限となっており、セキュリティを犠牲にしてのIT環境の利用はリスクが多きスキルと思います。
まとめ
このRPA+ブート型USBメモリの活用は、Withコロナの一つの姿ではないでしょうか。
必要な労働力の確保として、フリーランスの活用も今後の重要なポイントであると考えています。
その様な方々に業務を行ってもらう場合でも、この環境は有効であり、活用できると考えています。