プライベートクラウドとは!? そのメリットとすすめ

プライベートクラウド

9月末に大阪で開催されたあるハードウェアメーカーのセミナーに行って来ました。

セミナーはハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)製品メーカーのセミナーで、新しい技術(機能)のほか、多くのユーザ企業・団体による事例発表がありました。

今回は、このHCIやプライベートクラウドとは何?という方に向けてお伝えしたいと思います。

目次

プライベートクラウドとは?

「プライベートクラウドとは?」という方に最初にお伝えします。

 

このメルマガを購読されている方々の中には、

「クラウド利用はちょっと不安」

「機密情報が多く、外部に保管することはできない」

等々、様々な理由から外部のクラウドサービスを利用していない方々も多いと思います。

(使っていても基幹システムや機密情報に関する部分は使っていない)

 

外部のクラウドを利用しない(できない)場合でも、自社内にクラウド環境を作り、一元管理をすることでITに関する様々な管理コストを削減する事は可能です。

 

クラウドはクラウドでも、自社内に作るプライベートクラウドであれば、導入ハードルは低く、取り入れることが出来るのではないでしょうか。


プライベートクラウドを言い換えれば、

「ハードウェアとソフトウェアの分離」

と言えます。

 

一つの例として医療機関に於ける情報システムを考えてみましょう。

 

医療機関に於ける代表的なシステムとして電子カルテがあります。

CT/MRIなど画像情報を蓄積し、管理するPACSシステムの他、医事会計や調剤/給食/リハビリ/看護など様々部門システムが存在し、それらのシステムが連携し、病院情報システムとして稼動している医療機関が多いようです。

それらのシステムは多くが、それぞれのベンダーがハードウェアとソフトウェアを一緒に納入していきます。

複数台のサーバ、ストレージをベンダーごとに納入することになります。

機器の台数が多い場合には、ラック自体もベンダーが納入することもあるでしょう。

 

そうすると、機器はバラバラ、ラックもメーカーが違うものが納入され、ラックの中のスペースも有効に使えない場合もあるかもしれません。

 

スペースが有効に使えないという事は、ラックを複数台設置する場所が必要になり、その分、機器を冷やすための空調自体も大型化する必要もあります。

システム毎にサーバ機器やストレージを納入する場合、そのシステムが必要とするCPUやメモリ、ストレージ以上のハードウェアスペックの機器が納入さける事が多いと思います。

これは、導入から5~6年後でも問題ないことを考慮する必要もありますが、結果として導入当初は大幅な過剰なスペックとなる事がほとんどです。

この様にベンダー毎にITC資産を導入することは、受け入れるユーザ側としての負担が如何に大きいかがわかります。

 

ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)とは

次にハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)に触れたいと思います。

 

基本はサーバ仮想化ですが、サーバ仮想化に必要な5年ほど前の主な機器構成としては、

 1.サーバを稼動させるサーバ機器群
 2.別筐体でのストレージ機器
 3.サーバとストレージをつなぐ光ファイバーを利用するストレージ
  ネットワーク機器(SANスイッチ)

が主流でした。

 

システム全体の機器スペックにも依りますが、稼動させる仮想サーバの台数は30台~規模でしょう。

 

これらの構成の場合、それぞれの機器ごとにファームウェアがあります。

管理・更新する場合はそれぞれの機器のコンソール画面にログインし作業する必要があります。

それらを構築・運用するための技術者は細かく言えばサーバ、SAN、ストレージと別々に必要になり、そのことも負担が大きかったと思います。

(業者に依頼する場合もそれぞれの技術者が必要なため高額になる。)

このサーバ、SAN、ストレージを一つの筐体に集約することで、管理負荷や設置場所を大きく減らすことができるものが、このHCI製品です。

 

弊社では数年前から、クラウドサービス基盤として利用を始めました。

以前の構成と比較すると、場所は数分の一となりました。

管理コンソールも非常に良くできており、一つの画面が現状のシステムの状況が一目で分かったり、システムのファームウェアの更新もクリック一つで、仮想されたサーバを停止することなくできます。

以前の構成であれば、ある仮想化サーバ上に乗ったサーバを別な物理サーバに移動させた後に、該当の物理サーバのファームウェアを更新、また違う物理サーバのファームウェアを更新する時は別な物理サーバに移設して…。

を繰り返す必要がありました。

(物理サーバに1つのOSが乗っていた頃と比較すると、それでもシステムを停止することなくできることがメリットでしたが。)

 

プライベートクラウドのススメ

今回の記事はプライベートクラウドとは?という投げかけですが、以上のような問題の解決方法は、

ハードウェアとソフトウェアを分離する≒プライベートクラウド化 となります。

 

自社でプライベートクラウド環境=CPU、メモリ、ストレージを一まとめにした基盤を準備し、様々なシステムをその基盤上で稼動させることにより、

 1.物理的機器の大幅な削減 ⇒ 設置スペースの削減 ⇒ 空調コスト削減

 2.管理の手間の削減

 3.可用性の向上

 4.ハードウェア保守とソフトウェア保守が分離しソフトウェア利用期間が伸びる可能性

  ⇒ 更新費用の削減の可能性

などのメリットが考えられます。

 

弊社が利用しているHCI機器では、ざっくりですが、ラック2~3本に入っていたサーバやネットワーク機器、ストレージ機器が、1/2ラック程度に十分収まるほどの集約効果があります。

先述したように空調機器も含めた電気代の削減にも大きく寄与します。

 

HCIは筐体を追加することにより、物理的にはストレージは別れていても一つの大きなストレージとしてみなすことができます。

最初は小さく始めて、システムを使う上でCPUやメモリ、ストレージが必要になった段階で筐体を追加することで容易にスペックを上げることも可能であり、有効な投資が出来るようになります。

また、最新のHCIはAWSやMicrosoftAzureなどパブリッククラウドと簡単に接続する機能も持っていますので、大きなデータで利用頻度が低く、外部に出しても良いと思われるデータは、安価なAWSのS3を活用することも考えられます。

 

HCIの導入は決して安いものではありませんが、

 1.機器運用コスト(人的な手間)
 2.設置場所に関わるコスト(空調も含めた電気代や場所に関するコスト)
 3.システムの更新に関わるコスト(プライベートクラウド導入によるシステム利用期間の延長によるコスト削減効果)
 4.可用性や完全性、機密性など事業継続に関する方針

を考慮すれば、現状のコストと比較し優位に立ち、様々な職種で発生している人手不足の解消の一つの対策にも繋がると思います。

是非、サーバを複数台管理されている方は検討される事をお勧めします!

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