かなり簡単にもできる!BCP訓練の進め方

BCPを策定した後、訓練を行うことに苦労している担当者の方を多く見かけます。

BCPの策定が進まない理由として、「BCPの作り方が分からない」が多くなっています。

実はBCP訓練ができない理由のトップも「どのように訓練すればよいのか分からないが多くなっているんです。

このように、方法や実施方法が分からないので、訓練ができない、という状態になっているようです。

弊社では先日、経営層の参加のもと、簡単なBCP訓練を実施しました。

そこで、今回はBCPの訓練をどのように行えばよいのか分からないという方に向けて、BCP訓練を簡単に行うための方法について紹介します。

この内容を読んでいただくことで、BCPの訓練を検討したり、実施するための参考になると思います。

目次

弊社で実施した簡単なBCP訓練の概要と進め方

先日、弊社で実施した簡単なBCP訓練は以下のような内容でした。

区分 内 容
参加者 社長、常務を含む災害対策本部員メンバー(7名)
前提条件 発生事象:島根県東部を震源とする震度6強の地震(平日、午後1時)
状  況:本社社屋から一時避難後、安全が確認されたため社屋に戻り、災害対策本部を設置
訓練内容 地震発生から30分後に災害対策本部が収集した各種被害情報をもとに、BCP発動の要否の判断と当面の指示内容を検討する。

この訓練は

  1. 訓練を始める前に今回の対応範囲と訓練の進め方について参加者に説明する
  2. 災害対策本部が入手した被害情報等を状況付与票にとりまとめ、進行役(筆者)が参加者に提示する(1回のみ)
  3. 状況付与票に記載された情報をもとに、参加者はBCP発動の要否の決定と社内への対応指示事項を整理する
  4. 振り返りで現状の課題確認と対応策の検討を行う

というような以下の4つのステップで進めました。

全体で1時間15分ほどで終了しています。

このように非常に短時間の訓練ではありましたが、今まであまり話題に出なかったような対応上の課題が確認できましたし、経営層からは発生した事象を変えながら、定期的に訓練を行うようにという指示も受けています。

今回実施した訓練は非常に簡易なものでしたが、実施することで多くの気づきが得られるとともに、参加者には本番での対応に向けたシミュレーションにもなります。

このように、今回弊社で行ったような机上訓練について言えば、簡単であっても実施することによって得られるものは非常に大きいというのが実感ですし、訓練の質や内容よりも、数をこなすことの方が大切と思っています。

BCP訓練の種類

「BCP訓練」と一言で言っても、弊社が実施したように簡単に行えるものから、しっかり準備して行うものまで、様々な方法があります。

それらを整理すると以下のようになり、ちまたで行われている訓練は、ほぼ以下のどれかに当てはまります。

区 分 内 容
協議形式 セミナー 経験豊富な司会者の進行により、策定した計画に参加者を適応させるため討論形式で進めるもの
ワークショップ 討論方式で新しい手順や運用計画を立案していくもの。
机上訓練(テーブルトップエクササイズ) ファシリテーターより、一定の状況を提示し、対応や意思決定すべき項目と内容等を確認する。
ゲーム 2つ以上のチームが特定のルールや情報に基づき、現実的な状況下の中で競い合いながら対応を行うもの。
オペレーション形式 実働訓練(ドリル) 重要な要素となる項目について、何度も繰り返し、反復して身につける。
ファンクショナルエクササイズ(機能演習) 特定分野の資機材の取扱等を習熟するための訓練。災害対策本部設置訓練等
フルスケールエクササイズ(総合演習) 机上演習+実働訓練を組み合わせたもの。模擬負傷者の救護、搬送や代替事務所に実際に移動しての業務再開などを行い、決められたRTOとの比較や計画上の実効性等から、対応力を確認する。

※「ISO 22398:2013 社会セキュリティ-演習の指針」の内容を参考に作成

訓練というと、どうしても実働を伴うイメージがありますが、上記の表にあるようにセミナー形式で行うという方法もあります。

また、話し合いが中心となるワークショップ形式という方法もあり、セミナー形式やワークショップ形式であれば訓練実施のハードルはかなり低くなるでしょう。

BCP策定後にいきなりオペレーション形式での訓練を行うのはかなりハードルが高いため、協議形式でまずは進めてみるのが良いでしょう。

BCP訓練の計画用1枚テンプレート

その訓練を設計する時には、つい「地震でやるのか、水害でやるのか」とか、「参加者は誰にするのか」という話を先にしがちですが、最初に訓練の目的や目標を明確にすることが非常に重要です。

弊社がBCP訓練をご支援する場合は、机上訓練の形式がほとんどなのですが、訓練計画を立てる際には大切なことから考え始めることができるように、以下のようなテンプレートを使って訓練を組み立てています。

過去にセミナーの参加者にはお伝えしたことがありますが、これも参考までにお知らせします。

このシートは訓練の骨格をとりまとめていくための支援ツールですから、実施にあたっては細かい設定や補助資料を作成していくことが必要となります。

ただし、最初にここまでの内容を整理しておけば、訓練としてのポイントはしっかり押さえることができると考えています。

参考にしていただけると幸いです。

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