数年前から話題になっているIoT(Internet of things)は、新聞やニュースで報道されない日は無いほど当たり前になりつつありますが、先週東京ビックサイトで開催された展示会に行ってきました。
それらの報告と感じたことなどについて今回は書きたいと思います。
IoTに関するサービスや商品は数年前と比べて増大
会場は以下の4つに分れており、各メーカーやベンダーが様々なサービスや商品を展示していました。
・ワイヤレスIoT
IoTに関するセンサーやサービス、通信機器など
・ワイヤレス・テクノロジー
5Gに関する基地局や通信設備、測定装置など
・運輸・交通システム
トラックやタクシー向けのセンサー、機器やサービスなど
・ドローンソリューション
ドローンに関するサービスや商品
前回のメルマガで取り上げた5Gですが、具体的な機器が展示され、5Gのサービス開始に向けて様々なメーカーが売り込みをしていました。
しかし、アンテナや計測機器を見ても、私はピンと来ないので、このエリアはほとんど見ずにワイヤレスIoTの幾つかのブースを訪問。
2年ほど前もIoTに関する展示会に参加した事がありましたが、その時は、ネットに繋がるセンサーや、月額100円程度の通信回線、機器に組み込むための数センチ角の通信ボードなどの「パーツ」を展示したブースが多かったイメージでした。
今回は運輸・交通などに留まらず、ネットに繋がるセンサーとデータを蓄積するクラウドサービス、それを分析する画面など、トータルな「サービス」が多く展示されており、内容が進化していることを実感しました。
製造現場ではセンサーから情報を取得する場合に無線を使う場合が多いのですが、電波が混んで情報が上がってこないトラブルが発生しているようです。
それが、センサーメーカー等がアライアンスを組んで、工場内の複数の無線システムの協調制御の機器を開発するといった、安定した利用を目指すための組織も立ち上がっており、IoTの活用に向けた様々な動きがあることにも注目しました。
見ていてワクワクするサービスや機器を見るのが楽しい
低速ながら通信料金が月額100円未満のサービスと簡単なセンサーを組み合わせたサービスがあり、気になったものを紹介します。
1.鳥獣被害対策わな監視
「しか」や「いのしし」の鳥獣被害のニュースを良く聞きますがこのわな監視にIoTを活用したサービスが出展されていました。
ワナにセンサーを取り付け、ワナに掛かった事をクラウドに送信し、管理者に通知するものです。
今までは定期的にワナを回って確認する必要があり、体力的に非常に大変だったと思いますが、ワナに掛かった場所が分かれば非常に効率的です。
通信機器と併せたセンサーキットはリチウム電池で約1年間使えるそうですので、電池交換の手間を考えても運用は可能だと思います。
島根県内でもジビエ料理を出すお店が新しく開店するなど、鳥獣対策をする事で地域活性化にも結びつくと思いますので、関係者の負荷軽減に役立つと良いと感じました。
2.工場内のパレットやコンテナなどの位置検知
スマホを一回り大きくして、厚くした程度のボックス内にGPSと通信機器を内蔵したものをパレットなどに装着することで、パソコン画面上でパレットの位置を把握したり、想定の範囲内から逸脱すると管理者にアラートを通知する機能が展示されていました。
あるお客様を以前に訪問した際に、
「取引先と自社工場などを行き来するパレットが何処に行ったかわからなくなる事が多々ある。
しかし、センサーを取り付けるコストを考えると割に合わず、無くなる事も致し方ない。」
と聞いたことがありました。
しかし、展示されているサービスの概算費用を聞いたところ、決して高い費用ではなく、ひと昔なら費用面で無理だったことも、今なら実現しやすくなっています。
加えて、位置情報だけでなく温度計測なども可能なため、それらのデータを基に新たな情報を導き出すことも想定され、活用する意義はあると感じました。
とは言えIoTの導入には慎重な経営者が多いのも事実
弊社にもIoT活用についての相談が寄せられています。しかし、具体的に活用まで進んでいる案件はありません。
センサーを取り付け、そこから取得される情報をクラウドに上げても有用な活用ができるのか、新たな価値を創出できるのか、という
ことを考えると、なかなか投資に踏み込めないのが実情のようです。
しかし、センサーを取り付けて情報を吸い出すだけがIoTではありません。様々な方法で情報を収集することが可能ですので、業務改善や働き方改革にも繋がるデータも収集できます。是非とも躊躇せずに「改革」に取り組んでもらいたいと考えています。
IoTの技術は今後ますます進化してくることが予想されるため、適切なコストで最も効果が得られる仕組みをご提案できるよう、私としても様々な事例を続けて勉強していきたいと思います。
ITを活用して業務効率を上げるハードルは確実に下がっています。勇気を持って取り組んでもらたいたいと思います!