BCPからBCMへ

BCM-BCP

以前、「天災は忘れたころにやってくる」という記事を書きましたがが、そのときには、最近頻繁に天災が発生するので、この言葉が成り立たなくなっているということを書かせていただきました。

今回は、それを一歩進ませて、忘れないようにするためにBCPからBCMへ変えていくことを推奨する内容になります。

目次

BCPからBCMへの第一歩を

これまで、たくさんの企業の方に、BCPの作成方法をお伝えさせていただきましたが、『作り方が分からなかったので助かった』というメッセージを多数の企業の方からいただいています。

しかし、BCPが文書として完成しただけでは、その作成に関係された方以外の社員には何の役にも立ちません。BCPを全社員に教育し、訓練で動きを実践的に覚えてもらい、訓練でうまく行かなかったところを改善していくことが必要です。

そうは言っても、教育や訓練という1年に1回程度の事項でこの周期を維持するのは非常に大変です。

 

BCPからBCMにするにはBCPの改善を必要とする切っ掛けが定期的もしくは頻繁に発生することが必要になってきます。

よくやられるのがBCPの担当者による定期的な会議ですが、その内容がBCPで検討した対策(耐震化、非常食、バックアップ等)の進捗状況確認だけでは、BCP自体の改善にはならないばかりか、BCPが金食い虫であるという悪いイメージを増長することになり、BCMに移行していくことを阻害する要因にもなりかねません。


BCPで最も重要なのは、災害発生時の企業としての動きや社員の動きを決めておき、時代とともに移り変わる環境の変化にその動きを追随させておくことです。

訓練を頻繁に行うのが最も良いのですが、訓練計画を立てるのが大変で、また、訓練時には大勢の人を拘束することになり、あまり喜ばれません。

 

マネジメントシステムにはPDCAが重要ですが、P(計画)を起こす切っ掛けが必要になります。多くの場合に、その切っ掛けはなんらかのインシデントになりますが、BCPのインシデントである大災害はそんなに定期的に発生しないし、発生してもらっても困ります。

一つのアイデアになりますが、BCMの会議で日本中の(できれば世界中の)災害に目を向け「もしこの災害がここで発生したらどうなるのか?」「策定したBCPで対応できるのか?」などを話合うことが良いのではないでしょうか。

BCPの一つである非常時対応計画を確認することが必須になり、各社員の動き方に間違いが無いかチェックできるだけでなく、BCMの担当者は会議でのテーマを見つけるために、常時、世界中の災害をチェックしている必要があり、担当者の危機意識も向上するでしょう。


これからBCMに移行していこうという企業へのヒントになれば幸いです。

情報システムへのBCP対策は効果的

近年の情報システムの発展により、全ての企業活動で情報システムが重要な位置付けとなっています。

また、長期化している人材不足の状況で生産活動を継続するためには、更に多くの業務を効率的に進める必要があり、情報システムの高度化に拍車がかかることになります。


このような状況を考えると、災害発生時に情報システムを守ったり、障害が発生しても早期に復旧させる必要性は益々高まってきます。


また、情報システムは企業活動だけでなく、災害時の連絡手段としても必須のものです。

情報システムを利用し始めた当初は、システムの保守を自社で行う必要があり、社内のどこかに置いておく必要があり、未だその状態で運用されている企業がたくさんあります。また、システムを社内に置き続けている理由がコスト削減のためという企業もあります。


しかし、大災害が発生した時に本当に大丈夫でしょうか。

温暖化によると思われる異常気象は益々脅威となるだけでなく、先日、北海道で発生した大規模停電の可能性も拭いきれません。ネットワークが高速・低額化し、クラウドサービスが高度化・低額化した今、もう一度社内の情報システムについて見直してみてはどうでしょう。

BCP対策効果的になるばかりでなく、費用削減に繋がる可能性も高くなります。

使い方としては、下記の方法が考えられますので検討してみてはどうでしょう。

(1)全システムをクラウド移行
 (1)-1 現状のシステムをそのままクラウドへ
 (1)-2 システムもクラウドサービスで準備したものにに乗換え

(2)バックアップシステムをクラウドに構築

(3)バックアップデータをクラウドに保管

 

(3)から始めるのが簡単ですが、データだけあればシステムを再構築できる自信はありますか?「保存しているバックアップデータに不足部分があり、元に戻せない。」という失敗を良く聞きます。

バックアップを利用するなら、(2)をお勧めしますが、(1)を行うことで最も確実なバックアップができます。

山陰地域にはITコーディネーターの資格をお持ちの方が沢山おられます。社内に情報系の専門家がおられない企業の方は是非問い合わせて見てください。

ちなみに島根県には「ITCしまね」という勉強会があり、県内企業の情報化のお手伝いをしています。

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