感染症脅威下でのBCP

医者

中国で新型コロナウイルスの感染者が検出されてから3ヶ月余り が経過し、世界中で感染者が発生しています。


日本でもクルーズ船 での集団感染だけでなく、北海道で感染者が増加し、安倍総理の元 感染の早期終息を目指した行動を呼びかけられています。(本日、 ついに中国地方でも感染者がでました)  

そのため、各地でイベントの中止や延期が発生し、生活に不可欠 な趣味や娯楽を奪われだしています。そのためストレスを感じてお られる方々もおられると思いますが、ウイルス撲滅のため、全国民 で戦っていきましょう。  

今回は、新型コロナウイルスの猛威を受け、企業としてどのよう な行動が必要なのか、鳥取県のBCP作成の手引きへの掲載を予定 している内容をご紹介いたします。

目次

1.感染予防策と事業継続対応を分けて考える

今回のような新型の感染症拡大時の対応については、以下のよう に整理すると対策がとり易いのではと考えています。  

それは、『社内で行う「感染予防対策」と「事業継続対策」を分けて考える』というものです。  

実施は同時並行的に行うことになりますが、対策としては別もの として意識しておくことが重要です。  

その理由は通常の災害対応でも、発生した非常事態に当面対応す る「初動対応」と事業が止まらないようにする「事業継続対応」は 別のものと整理されているからです。  

 

今回のような新型感染症への対策も同様に考え、  

  • 初動対応⇒感染予防対策(発生した非常事態への対応)  
  • 事業継続対策⇒事業への影響分析と必要な対策

の2つの面を考えるということになります。  

企業がとっている対応については、感染予防対策に目がいきがち で、事業継続に関連する影響分析や対策立案はかなり抜けがあるとも考えています。  

続いて、それぞれの対策について整理してみます。

 

2.企業としての感染予防対策の実施

 新型コロナウイルスのような感染症が発生した場合、まずは社員 が感染しないための予防対策を行う必要があります。  

ここでは以下のような感染状況(感染レベル)に応じた対応方法 をまとめてみました。

 

<レベル1> 感染症発生(海外)  

ウイルスの種類によっては突然レベル3(国内で発生)から始まる可能性もありますが、過去の例のように、海外で発生することを前提として整理しました。新型感染症が発生したことが報じられる状態をレベル1として定義します。

個人としての予防策はまだ必要ない時期ですが、人材を最重要な 資源とする企業としては放置できません。このときからでも以下 のことを実施することが大切です。  

  • 新型感染症の特徴と感染予防方法に関する情報収集  
  • 調査内容の社内周知  

ウイルスの感染が一気に広がる可能性もあります。全社員が感染  症に対する正しい知識を持って正しい行動できるように準備を始めるようにしましょう。

 

<レベル2> 感染症拡大(海外)

感染予防に役立つ備品の準備   

レベル4(国内で感染拡大)になってから企業として備品を準備することは一般住民に迷惑をかけることになり、風評被害等で後の事業継続に影響することが考えられます。

準備が早期に行えるよう感染症に対するアンテナを高く持つようにします。

感染拡大地域への渡航禁止

レベル4(国内での感染拡大)に備えた勤務形態の検討

時差出勤、在宅勤務、WEBミーティングなどへの変更ができるよう体制を早い段階から整えましょう。

 

<レベル3> 感染者発生(国内)

感染予防の実施   

レベル4(国内で感染拡大)になったときには習慣付けられているように、早期に開始しましょう。特に、手洗い、うがいの 習慣が大切です。

不要不急な移動の自粛

特に感染地域(国内)への不要不急な移動の自粛(または中止)

 

<レベル4> 感染拡大(国内)

一部業務の勤務形態の変更   

現状の業務形体で企業内感染に陥る可能性が高い業務については、レベル2で検討した勤務形態に移行して社員の感染予防を行いましょう。

 

<レベル5> 感染拡大(事業拠点のある都道府県内)

全社員の状況確認・検温の実施   

レベル7(回復期)になるまで、毎日定期的に実施する。

感染時の自宅待機   

初期症状が発生した場合は仕事や休むように奨励します。

家族が感染した社員は自宅待機します。   

感染者との濃厚接触が考えられる場合も、同様に出社をせず、場合によって医療機関の指示で検査を受けます。

全業務の勤務形態の変更

社員を感染から守るため、全事業の勤務形態を見直す。

全社員在宅勤務で事業継続できるなら直ぐに移行してください。

 

<レベル6> 感染症拡大(社内)

社屋の定期的な消毒

企業活動の縮小・停止   

回復期での回復スピードを速めることを目的に、企業活動の停止も考慮した最低限の業務を実施する形態に推移しましょう。

重要な業務を行っている場合、一時的に業務を停止する措置も検討します。

 

<レベル7> 回復期

企業活動の再開

全社員が一斉に出勤できることは考えられません。

重要業務から再開できるよう、出勤可能な社員の対応力に応じたスケジュール調整を行いましょう。

 

3.事業継続のための準備作業

感染症のレベルが上がるたびに事業や仕事への影響度合いが高まります。

そのため、なるべく事前に感染拡大の影響を予想・整理し、 必要な対策をとることで事業を継続できる可能性が高まります。

今後も感染症が発生することを想定し、事前に何を準備しておく ことが必要なのか整理しました。

 

(1)リスク分析・事業影響度分析の追記

海外流行にともなう自社事業への影響分析

世界的流行を前提にしたリスク分析と事業影響度分析を再検討しておきます。

特に、海外からの直接・間接的な仕入れや、海外に生産・営業拠点がある場合は、海外の感染拡大にともなう操業レベルの低下や事業停止が発生した場合の影響を検討しておきます。

国内流行による自社事業への影響分析

国内に感染症が流行しはじめると、社会機能が停滞することでの自社事業への影響が発生し始めます。自社サービスの需要が大幅に減るあるいは無くなる場合、逆に今回のマスクや消毒液、さらに保存の利く食べ物等のように自社サービス・商品に需要が増える場合も想定しておきます。

対面営業が中心の場合は、場合によっては事業中断せざるを得ないことも考えられます。その場合、最大許容停止時間がどの程度になるのか予め把握しておくことが非常に重要です。

 

(2)影響度合いを最小にする対策の検討と実施   

一般的には下記の対策を検討しますが、各企業に適した対策を考え、可能なものを準備し始めます。  

  • 継続業務の絞込み   
  • 継続業務の手順の変更   
  • 業務時間の変更や短縮   
  • 在宅勤務の可否と、それに必要な設備の洗い出しおよび移行手順   
  • 一時的な操業・営業停止   
  • 他所(又は他社)への事業委託方法   
  • サービス提供方法の代替方法   
  • 取り扱い商品の変更・追加   
  • 在庫の積み増し

 

(3)連絡体制の整備   

感染を拡大させないためにも、社員ならびに取引先と非接触かつ速やかに情報伝達できる環境を整備しておくことが有効です。

また、整備された環境を利用した情報伝達訓練を定期的に実施しておくことも重要です。

 

(4)フレキシブルな勤務形態の準備

企業活動の停止や在宅勤務の実施により、従業員に不利益を与 えないよう、働き方改革への対応を含め、就業規則等の見直し を行っておきましょう。

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