防災対策の新しい考え方「フェーズフリー」とは

平野

新型コロナ感染の第3波が日本(特に都市部)を再度危機状態に追い込もうとしているのに対して、国は経済活動をストップさせないための対策を必死になって継続しています。

私たちも「慣れた」とは言いたくありませんが、withコロナという生活に耐えている状況が続いています。

今の段階では間もなく登場しそうなワクチンに期待するところが大きいのですが、この環境でも経済活動が継続できるサービスや製品を考え抜いて、別の芽を出すことが重要になってきているのではないでしょうか。

今回は、別の目を出すことに匹敵する「フェーズフリー」という考え方についてご紹介します。

 

新型感染症は歴史的にも繰り返されてきました。

次の新型感染症の感染拡大時には、フェーズフリーのサービスや商品が行き渡り、経済への影響を大幅に少なくなるできることを期待します。

目次

フェーズフリーとは

フェーズフリーという考え方は2014年から提唱されているそうですが、実は最近知った言葉です。



皆さんは「防災頭巾」という物を覚えていますか?

私が小学生のころは、普段は座布団になっていて、避難時に頭を保護する布製のものでした。

この頭巾のように、普段利用しているものが、防災機能を兼ね備えることをフェーズフリーと言います。

 

2018年にはフェーズフリー協会が立ち上がり、防災意識を普段から持ってもらうように活動していますので、一度覗いていただければと思います。

 

フェーズフリー協会のサイトでは以下のような情報を発信しています。

 

■ 「フェーズフリー」の定義

日常時のいつもの生活で便利に活用できるのはもちろん、非常時のもしもの際にも役立つ商品・サービス・アイデア

 

■ 災害と危機の違い

地震や洪水など自然災害と言われるものは「危機」であり、その危機により人や社会に被害が発生した場合に「災害」となる。

 

■ 備えは難しいので普段から使う

防災用具は普段は生活の邪魔にならないようしまっていて、いざ危機が発生した時に探し出して利用する。

普段利用していないからどこにあるのかを忘れるし、利用方法も咄嗟に思い出せない。

普段から利用しているものがそのまま防災用具になるならスムーズに利用できる。

 

このような納得できる説明が分かりやすく記載されているので、フェーズフリーの考え方をよく理解いただけるでしょう。

 

自然災害を対象としたフェーズフリー商品

フェーズフリーの製品にはどのようなものがあるのでしょうか?

思いつくものを紹介します。考え方によってはフェーズフリーになるものも含まれています。


■ 食品
火(熱)が無くても食べられるものは全てフェーズフリー食品ではないでしょうか。

レトルト食品、缶詰、カップラーメン(長時間かければ水でも食べれる常態になるそうです。)などでしょうか。

ただし、昔から非常食として用いられているカンパンも火を使わず食べることができますが、これはフェーズフリーとはならないでしょう。普段から食べている人っていないためです。


■ 生活用品
フェーズフリー商品でググるとアスクルさんのページが先頭に出てきます。

こちらのページに詳しく紹介されています。
  
主なものとして

  • 懐中電灯になるデスクライト
  • モバイルバッテリーにもなる充電池用充電器
  • 蓄光LED電球
  • 扉が付いた折りたたみコンテナ 

などアイデア商品が並んでいます。


■ 機材 等
車のEVやPHYがフェーズフリー商品であることは皆さんもお判りでしょう。

電気が無い状態での生活が考えられない今日、長期停電は甚大な災害となり得ます。

これらの商品は環境問題のことも考えた3方向(日常、災害、環境)のフェーズフリー商品です。
 
ここまで紹介させてもらいましたが、まだまだ該当する商品は少ないため、これからの開発を期待します。

 

新型感染症で考えられるフェーズフリー商品

新型コロナの蔓延で普段から使われ始めたものの代表として、マスク、消毒液、透明シールドシートなどがあります。

しかし、これらはフェーズフリーの考えとは少し異なりそうです。

感染が収まれば利用頻度は大きく下がり、場合によっては普段は使われなくなるためです。

 

テレワークで利用されだしたテレビ会議システムはフェーズフリー商品になるかもしれません。大手企業ではテレワークが通常業務になったり、都市部から地方への展開には欠かせない技術になってきました。

災害がフェーズフリー商品を育てた好例となるでしょう。

 

また、展示会をオンラインで行うためにAR(仮想現実)技術が高度化してきているようです。オンラインショップが発展している中、この技術も使われ続けるでしょう。

 

その他、いろいろググッてみましたが、新型コロナの蔓延がきっかけでフェーズフリーな商品が開発された例を見つけることができませんでした。

ただ、仕事のやり方を変えて、それをこれからのやり方にしてしまうアイデアは沢山実施されています(仕事のフェーズフリーとでも言えるかもしれません)。

私の担当したBCP普及啓発セミナーでは、以下のような例を紹介しました。

  • 美容院によるオンラインレクチャー
  • 飲食店でのオンライン接客
  • 外食店での食材販売
  • 外食店でのデリバリー

医療や介護の領域では、院内や施設での接触を防ぐために、オンラインでの診察や面会が実現されています。

この手法は、新型コロナが収まってもそのまま継続される(継続してほしい)でしょう。

 

事業継続計画(BCP)でのフェーズフリー

私たちは以前から、BCPは非常時だけでなく、平常時の経営に役立つ計画策定であることを説明させていただいていました。


BCPが平常時・非常時のどちらのためにもなるという意味合いでハイブリッド型BCPと名付けさせてもらっていましたが、フェーズフリーと全く同じ内容になります。

BCPを策定された方にはお分かりかと思いますが、BCPの目的や方針を考えるときには、企業経営の目的や方針と一致させておかないと、BCPの対策に必要な費用がコストに見え、投資というイメージで捉えられなくなります。

その結果、策定した後の動きが無くなり、ドキュメントとして残るだけになってしまします。

今後も、BCP策定をアドバイスさせていただくときには、経営強化への投資であることを前面に「だし、フェーズフリーの考え方を取り入れて行こうと思います。



 

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