BCPのポイントを振り返ってみる

BCP

鳥取県でBCP普及セミナーやBCP策定ワークショプを担当しているため、日々、情報収集やノウハウの蓄積に努めていますが、その一つとして、先日、高松で行われたBCPの研修会に個人的に参加してきました。

今回は皆様にとっても参考になるところがあると考え、BCPの勉強と復習する意味合いで、この研修の内容を紹介させていただきます。

目次

BCPのポイント1:東日本大震災以降にBCPは進んだか?

震災後5年間で、BCPの策定率は大企業は20%⇒60%に、中小企業は12%⇒30%に増加。しかし、それ以降は伸びが少なく、ほとんど変わっていないとのこと。

「喉元過ぎれば・・・」の状態に陥っているそうです。

東日本の震災のように相当なインパクトが無いとBCPの策定に対する意識変化は少ないようですが、南海トラフが迫っていることや異常気象の頻発は無視できません。東日本でもBCPを策定していた企業の速やかな復旧例が挙げられており、サプライチェーン化している企業にとって、BCPは必須の対策になっています。

 

BCPのポイント2:事業継続ニーズの高まり

このセミナーでは、以下の項目が示されていました。

1)リスクの多様化と切迫性
   世界で有数の地震国、その他、新型感染症、サイバーテロ、情報システム障害

2)サプライチェーンの進展
   グローバル化、サプライチェーンに影響の波及

3)取引先からの要請
   サプライチェーンを構成する企業全体のBC向上、調達先選定指標としてのBC取組

4)企業価値の向上

5)国際標準化と第三者認証

 山陰地方でも3)が増えているようなので、企業を守るためにもBCP策定を行いましょう。

 

BCPのポイント3:本来目指すこととは

1)災害直後でも許容限界レベルで事業を継続
  事業を完全に停止させないために、耐震化、2拠点化、自家発電、システム2重化、バックアップ等の事前対策が必要です。

2)許容される時間内に操業度を復旧
  今の社内体制でも、取引先からの要望に応えられるレベルまで目標時間内に事業再開を達成するための戦略や計画を策定し、実行できる教育や訓練を定期的に実施する。

 自分でいつも言っていることなのですが、改めて聞いて見ると、「なるほど」という気持ち。何度も繰り返す重要性を感じました。

 

BCPのポイント4:見落としがちな計画

1)二次災害の防止
   安否確認は最重要項目であり、その方法については確実に
  規定される。人命維持と復旧スピードの確保、2次災害の防
  止を考えておくのは重要だが、明記されていないケースがある。

2)地域との協調・地域貢献
   企業の存続には、その地域での共存共栄が不可欠。決して、
  疎かにしてはいけない。

3)財務手当
   事業中断時の社員の給与や、業務発注先に対する費用の支払
  いを確実に実施しないと、事業継続時のリソースが揃わなくな
  り復旧が不可能になる。資金計画はBCPにとっての重要項目
  である。

以上の3点の中には、鳥取県のBCPワークショップでそれほど注力しなかった点もありますので、今後はしっかりと盛り込んでいこうと思います。

 

BCPのポイント5:災害イマジネーションの重要性

災害イマジネーション力とは、「発災からの時間経過の中で自分の周辺で起こる災害状況を具体的にイメージできる能力」です。 

この能力は生まれつきの面もありますが、BCP策定を通して鍛えることが可能です。

例えば、「エレベーターの中ならどうするか」「電車やバスの中では」「自動車の運転中」「劇場や映画館」「オフィス」「海辺」「がけ付近」などを想定し、グループ討議をすることでもイマジネーション力は向上していきます。

ワークショップでは、どのような災害が考えられ、その時どうするかを検討していただいていますが、このような訓練も重要だと思います。とにかく、BCPの策定者だけでなく、多くの社員が災害イマジネーション力が向上すれば、自然と良いBCPが出来上がるはずです。

以上がセミナーの概要です。

 

とにかくBCPを作ってほしい

「BCPを作っただけでは役に立たない。」と、よく言っていますが、実はそんなことはありません。

今、高齢者のアクセルとブレーキの踏み間違いでの事故が問題になっています。企業経営にも同じことがあり得るように思います。

大地震が発生した時に、BCPがあることさえ思い出せば、慌てて間違った方向へ舵を取ることは防ぐことができます。それを速やかに行うには教育や訓練が必要です。しかし、計画をまとめておくことだけでも全く効果が無いとは言えません。

実際、鳥取県のある企業では、BCPを策定し、教育をしただけで、訓練はしていなかったのですが、ある非常時を乗り越えたところもあります。

BCPを策定して良かったという事例紹介をする企業では、BCPを策定してまもなく災害に遭ったところが多くあります。未だPDCAを実施する前なので、BCPに沿った行動をそこまで取れてはいなかったと思います。しかし、BCPを作ることで、企業の復旧への思いが全社員に伝わっていたことが功を奏したようです。

BCPを作るだけなら、そこまでコストを必要としません。

そこで、以下のセミナーなども参考にし、まずは計画策定を進めてみませんか。

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