BCP関連報道から見る最近の動向(2020年10月版)

新型コロナウイルスの感染が国内で広がり、4月7日に緊急事態宣言が出されてから、既に半年以上が経過しました。

今もなお、国内では新型コロナウイルスの感染は下どまりになっており、ヨーロッパでは再び感染拡大が起きている中、この10月に報じられたBCP関連の各種ニュースや情報から、事業継続対策に関連する最近の動向をまとめてみました。

その結果、新型コロナウイルスへの備えはもちろんですが、「拠点」に関する様々な取り組みも進められている様子が見えてきました。

目次

新型コロナウイルスを考慮したBCPの取り組み

(1)感染症BCPの普及状況
2020年7月27日(月)~8月3日(月)にかけて、東京商工会議所が感染症対策について会員企業を調査し、582社から回答を得た結果を公表しています。

「企業における感染症対策に関する実態調査」結果について

 

この結果では、感染症BCPを策定済・策定予定を含めた割合は53.9%となり、過半数の企業が取り組みを進めているという結果となりました。

 

(2)新型感染症BCPのガイドライン

鳥取県ではいち早く新型感染症対応のBCPのひな形を公開しましたが、新型感染症に対応したBCP策定を支援するため、各自治体がガイドライン等を公表し始めています。

10月には静岡県が福祉施設を対象とした新型コロナウイルスに対応するBCPマニュアルを整備したことが報じられました。

新型コロナウイルス感染症に対応したマニュアル(FAQ)について

全国でのBCP策定動向

10月にはBCP策定の動向に関する情報も複数報じられました。

いずれの情報も、中小企業等におけるBCP策定が進んでいるというものでした。

 

石川県中小企業団体中央会による調査結果では、「BCP策定に取り組んでいる企業は過半数に達した」と説明されています。

昨年度の調査と比べて、「策定している企業が見られる」という割合が増えており、取り組みが進んでいる様子がうかがえました。

県内業界から見る【BCP(事業継続計画)の対応】 について

 

大同生命は8月に実施した調査結果をもとに、都道府県別のBCP策定状況を公開しました。

昨年の調査結果と比較し、「策定済み」・「策定予定」の企業数の割合が15ポイント増加しており、全体では47%の企業がBCP策定に着手しているという結果でした。

大同生命サーベイ 月次レポート(2020年8月)

 

事業継続力強化計画の認定企業数が増加しているという情報も報じられています。

中小企業庁サイトの以下の情報を見ると、コロナ禍においても認定企業数は毎月1,300~1,800社程度が増えています。

「事業継続力強化計画」地域別認定件数一覧(令和2年10月27日更新)

 

以上の情報を踏まえると、中小企業へのBCP策定は確実に進んでいると言えます。

 

BCPでの拠点対策(テレワーク・サテライトオフィス等)

10月に報じられたニュースの中では、非常時の拠点に関するものが複数見られました。

 

(1)テレワークスペース

テレワークはこのコロナ禍の中で、都市部を中心に急激に進展しましたが、テレワークができる場所を提供するサービスに関する情報が報じられました。

多様なワーキングスペースが用意されていたり、wifiが使えるのはもちろんのこと、ドリンク無料等のサービスや大判印刷が低額で可能なサービスもあるなど、以前からあるレンタルオフィスとは異なっています。

テレワークのできる場所「VALTEC BCP 立川店・町田店」10/2オープンいたしました。

 

(2)サテライトオフィス

本社から離れた場所に構えるオフィスのことがサテライトオフィスと呼ばれています。

このサテライトオフィスが普及しそうな情報が報じられました。

総務省が「令和3年度税制改正要望」にサテライトオフィス整備にかかる軽減措置の創設を求めているというものです。

令和3 年度地方税制改正(税負担軽減措置等)要望事項

 

この資料では都内や大阪市以外に設けるサテライトオフィスが対象となっています。

地方創生と事業継続の確保が目的となっていますが、コロナ対応も含めて、もしかして一気に加速する可能性があるかもしれません。

 

(3)仮設オフィス

拠点関係で興味深かったのは、屋外に拠点を移設させるというニュースでした。

トレーラーボックス型の仮設オフィスを屋外に設置し、そこに本社機能を移設して、どこまで対応可能かということが検証されているようです。

「MIDORIオフィス」実証実験の実施について
(BCP対策の実験を行うため、西尾レントオール株式会社の本社機能を屋外の緑地に一時移転します。)

 

過去の災害対応事例やBCPの中で、本社が被災した場合、災害対策本部は屋外駐車場にテントを張って運営するというものがあります。

しかし、通常業務をテント内で行い続けるのはかなり難しいでしょうから、ここで行われている方法は一つの解決策になるとは思います。

 

その他のBCP関連の情報

その他、事業継続、BCPに関連する情報として、

  • 週休3日制の適用社員の拡大(働き方の変更)
  • 東京証券取引所システム障害後の会見で平井デジタル改革相がBCPが必須とコメント
  • 感染症対応の港湾BCP策定指針づくり始まる
  • しずてつジャストラインが津波浸水予想区域内の営業所を移転

と言ったニュースが目にとまりました。

 

全国の動きをみると、現在は新型コロナウイルスへの備えと経営的な影響を抑える取り組みが必要な時期でありながらも、これまで進められてきた災害への備えは続けて行われているという印象を受けます。

ただし、まさに今が非常時であることから、日常と非常時の取り組みの垣根は下がっている感じを受けています。

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