「新型コロナ感染者数は下げ止まり」と先日、政府で発表されました。
山陰地方では落ち着いてきていますが、全国では昨日は703人の新規感染者が発生したとの報道がありました。
これからは乾燥と低温を好む新型コロナの感染者増が心配になる時期になっています。
そして、毎年流行するインフルエンザの時期にもなり、熱が出たらどうすれば良いのか迷うところです。
今回の記事では、その迷いの一助になればと、日本感染症学会が提言している内容を個人的な解釈のもと、まとめてみました。
インフルエンザと新型コロナウイルスの違い
ここから記述するのは、一般社団法人日本感染症学会による「今冬のインフルエンザとCOVID-19に備えて」という提言を筆者が解釈したものです。
詳しくお知りになりたい方は是非、こちらの原本をお読みください。
○インフルエンザと新型コロナウイルスの症状の違い
インフルエンザでは、高熱を発することが特徴ですが、新型コロナウイルスでは、発熱に加え、味覚障害・臭覚障害を伴うことがあります。
もっとも厄介なのは、全く症状の無い方もいることでしょう(新型コロナ発生元の武漢から帰国した日本人では30%にも達するそうです)。
つまり、症状だけでインフルエンザか新型コロナかを見分けることが困難なため、医療機関に対し、次項のような対応を提言しているようです。
新型コロナウイルスとインフルエンザに関する医療機関への対応提言
○重症化の違い
インフルエンザでは重症になることは少なく、多くは軽症から中等症で、致死率も0.1%以下になっています。
新型コロナウイルスでは重症になることもあり、致死率も3~4%とされています。
ニュース等では、インフルエンザによる死亡者のほうが新型コロナの数を毎年上回っていると報道されていますが、日本では新型コロナの感染者数がインフルエンザと比較して未だ少なく、同じ土俵で比較されていません。
国民を新型コロナの恐怖から少しでも解放するための報道であり、今全国民が守っている3密の回避やマスク・手指消毒の習慣は常態化すべきでしょう。
○潜伏期間とウイルス排出期間の違い
潜伏期間はインフルエンザでは1~2日、新型コロナでは1~14日です。
ウイルス排出期間は、インフルエンザでは5~10日で、そのピークは発病後2~3日、新型コロナの場合、感染力のあるウイルス排出期間は10日程度で、発病の1日前にピークとなります。そのため、新型コロナの場合は感染者の隔離が後手になり、パンデミック状態になっているようです。
今日本で騒がれている3密回避は本当に重要なことです。
○治療方法の有無
インフルエンザには多くの治療薬が開発されていますが、新型コロナには今だ確立された治療薬がありません。
感染しないための行動を地域ぐるみで行うことが重要です。
海外のデータになりますが、新型コロナで入院した患者のインフルエンザ混合感染も多く(報告された論文では4.3~49.5%)、鼻が詰まったり、喉の痛みを伴うようです。
どちらにも感染している可能性があることを前提に発熱があった時の対応には注意していた
だきたいと思います。
新型コロナウイルスとインフルエンザで医療機関の対応はさらに困難に
医療機関での対応方法については、以下のような図解がされていました。
COVID-19およびインフルエンザを想定した外来診療検査のフローチャート
(出典:一般社団法人日本感染症学会提言「今冬のインフルエンザとCOVID-19に備えて」)
この内容を解説します。
以下の3種類の対応に分けられていました。
○インフルエンザを強く疑う患者には
簡易抗原検査により陽性となれば、インフルエンザ治療を行います。
その検査が陰性になった場合には対症治療(風邪の治療と思われます)を行いますが、新型コロナを否定できない場合は、抗原検査、遺伝子検査を行い、陽性の場合は入院・隔離し、陰性の場合は対症療法を継続します。
○新型コロナを強く疑う患者には
新型コロナを強く疑くのは、症状(味覚障害・臭覚障害)だけでなく、濃厚接触の状況からも判断します。
先ずは検査(簡易抗原、高感度抗原、遺伝子検査など)を行い、陽性であれば、入院隔離となります。
陰性であれば、インフルエンザの時と同じく対症療法を行い、症状が改善しない場合は簡易抗原検査によるインフルエンザの検査を行います。
ここで陽性になれば、インフルエンザの治療を行い、陰性であれば対症療法を継続します。
○識別が困難な場合には
インフルエンザ検査と新型コロナ検査双方を行い、どちらかの検査が陰性であれば、インフルエンザ治療か新型コロナか対症療法に移行できます。
しかし、どちらも陽性であれば入院・隔離の上、再検査をし、有効なインフルエンザ治療薬を選択するとともに新型コロナに有効な治療をしていくことになります。
新型コロナの治療薬が確立されていないことを考えると非常に難しい対応になることが想定されます。
このように、発熱があれば、インフルエンザと新型コロナの両方を疑った検査を行うことが必要となり、例年のようなインフルエンザ流行は医療機関に大きな負担をかけることになります。インフルエンザでの発熱だけでも回避するためにも、インフルエンザワクチ
ンの接種を強く推奨されています。
今年のワクチン接種の予約はかなり混みあっているようですので、早めの予約をお勧めします。