ハザードマップの利用で知っておきたい3つの事

ハザードマップ

今年もあと2ヶ月となりましたが、今年は大型台風による被害が顕著な年だったということは誰もが否定しないでしょう。

しかし、特にこれまでの地震対策が中心だった企業の防災対策は、地震対策と比べて、水害への備えが進んでいないという印象を受けます。

せいぜいハザードマップで自分の会社が浸水想定区域に入っているかどうかを確認しているぐらいだと思われます。

ところで、最近のハザードマップには、どこが、いつ、どのぐらいの期間浸水するのか、という情報等も確認することができることをご存知でしょうか?

ここ最近の数回の記事で水害対策について触れていますが、今回の記事では特にハザードマップについての情報をまとめておきます。

目次

1.利用する時は情報が更新されているか気をつける

従来のハザードマップには、想定される「想定最大規模降雨」と河川整備の目標とする降雨である「計画規模降雨」があった場合の2つの想定で、どこがどのぐらいの浸水深になるのかが図示されてきました。

あわせて、家屋が被害を受ける「家屋倒壊等氾濫想定区域」というものも図示されています。


2015年の水防法の改定で、これまで100年から200年に一度の雨を前提としてつくられてきた洪水ハザードマップが、1,000年に1度の雨を想定して作られるようになってきました。

ただし、新しい基準に対応したハザードマップを公表している自治体は、まだ33%に留まると報じられたとおり、作業は進んでいないようです。

水害が多い中、今回、マスコミにも取り上げられたので、未対応の地域では今後作成作業が進むことが予想されます。


もし、2015年以前のハザードマップは確認したことはあるけど、最近のマップは見ていないという場合は、以前は浸水しない場所であっても、今は「水につかる」想定になっているかもしれません。

この機会に改めてハザードマップを確認してみましょう。

 

2.ハザードマップポータルサイトの利用が便利

ご存知だと思いますが、ハザードマップは国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で調べるのが1番簡単です。

 

「重ねるハザードマップ」は複数のハザードマップを重ねて表示させることができます。

浸水エリアと土砂災害のエリア等を重ねて表示させることができるので、自分の家や会社のある場所のリスクを総合的に確認することができ、結構便利です。

それに、自分の住んでいる場所等をかなりズームアップさせることもできるので、紙やPDFの地図では「ここは水につかるのか」とか「凡例の色が見にくい」という場合も、明確に把握することができます。

自治体が公表しているハザードマップにもすぐにアクセスすることができます。

ハザードマップを確認するなら、まずはこのポータルサイトを確認するのがいいでしょう。

 

3.ハザードマップに浸水継続時間が加わっている

都道府県や国土交通省の河川整備事務所に掲載されている洪水ハザードマップには、新しい情報が追加されています。

それが「浸水継続時間」を示したマップです。

このマップがいつから公開されるようになったのか、よく知らないのですが、これはかなり有益な情報です。

これまでのハザードマップでは、水害リスクについては、どこが水に浸かり、どのぐらいの深さになるのかという2つの情報しか得られませんでした。

それが、浸水した場合、どのぐらいの期間水がひかないのか、という情報が得られるようになっているのです。


たとえば、こちらの荒川下流河川事務所のサイトに公表されているハザードマップを見てみましょう。

 

東京都内の荒川下流域では「2週間以上水が引かない」という想定が図示されています。

ここでいう「浸水」とは浸水深が「50cm以上」です。

「2週間」以上、ひざぐらいまでが水に浸かったままというのです。


こういう場所にも、たくさんの企業が立地していると思いますが、仮にこういうことになれば、復旧作業を開始したくても、なかなか始めることができません。

それに逃げ遅れてしまったら、相当長い時間孤立してしまうということになります。

 

ちなみに当社の事業所が立地している場所を全部調べてみましたが、場所によっては水が引くまで1日位かかる場所もあったため、事業再開する方法を考え直さなければなりませんでした。

ということで、浸水継続時間の確認をしてみましょう。

 

4.動くハザードマップも利用してみよう

もうひとつの新しい情報があります。
これは「動くハザードマップ」と言えるものです。

これって知らない人がまだ多いんじゃないでしょうか?


正式名称は
「地点別浸水シミュレーション検索システム(浸水ナビ)」
といい、国土交通省のサイトに掲載されています。

 


確認する河川を選んだ後は、決壊する場所を選んでクリックし、アニメーションの「開始ボタン」を押します。

すると、時間経過とともに水が浸かる場所が広がり、引いていくという様子を見ることができます。


ちなみに松江市内で宍道湖を見てみました。

仮に中心市街地に近い場所で決壊が起きると、すごいスピードで松江市内の中心部が水に浸かってしまう様子が表示されます。

この様子を見ると、こんなことが起きたらえらいことだ!!という感じになります。

 

河川から離れている場所だと、ここま浸水するということが、正直イメージしにくいということがあるでしょう。

しかしこのようなシミュレーションを見ることで、ほんとに水につかる可能性があるんだとをいうことをよく理解できます。


このシミュレーションシステムも一見の価値ありです。

 

まとめ

以上のように、今回の記事ではハザードマップについて、

1)1000年に一度の雨を想定した最新のハザードマップを確認
  すること

2)浸水継続時間を表示したハザードマップがある

3)浸水のイメージがしやすい動くハザードマップがある

の3つについてお伝えしました。

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