2019年台風19号に思うこと

台風

台風19号により被害を受けられた方に心よりお見舞い申し上げます。

台風15号で被害を受けられた方にお見舞い申し上げましたが、続けてこのようなご挨拶をする状況になり非常に残念です。多くの報道機関で報告されているように、温暖化による台風の強大化は更に進むとのこと。

本号では、台風19号で発生した被害についてまとめると共に、今後の台風強大化に備える方法について、個人的な見解を記載いたします。

目次

台風19号で発生した被害と対応について

内閣府の「防災情報のページ」に公表されている情報(10月23日付け)によると、人的被害は死者:74名、行方不明者:9名、負傷者:425名 となっています(本日の報道情報の方が人数が多くなっています)。

 

河川堤防の整備は進んできてはいますが、堤防の決壊箇所が135
箇所(国管理:12、県管理127)にものぼりました。台風による大量の降雨で発生した水量に河川堤防が耐えられなかったようです。山陰地方でも、このような降雨が起きることは否定できないでしょうから、今後、何らかの調査がされると思います。

 

上記の詳細は http://www.bousai.go.jp/index.html をご覧いただくと最新情報をPDFファイルで閲覧可能です。

BCP策定を支援している私としては、このような報告でもう少し充実させていただきたいのは、水害発生前に取った対策で救われた事例です。

 

これからコンサルティング会社などが詳しい調査を行い、順次発表されると思いますが、BCPを担当する省庁では、国としても事例を収集し、全企業に対して対策を推奨することが必要なのではないでしょうか。

BCPを策定された企業の方はお分かりでしょうが、BCPは企業経営を継続させるために、その企業に勤める職員だけでなく、その家族も重要資源として対策を考えます。全ての企業が従業員の家族を含めたBCPを真剣に策定することで、今回のように水害に巻き込まれる方々も減ってくることを期待します。

 

水害に備えたタイムライン

現在、鳥取県のワークショップ入門編の最後の項目に、水害時のタイムライン策定を盛り込んでいます。

これまでは地震を想定したBCP策定をメインとしてきましたが、鳥取県の方からの要望もあり、盛り込んでいます。このタイムライン策定は企業の方に好評で、近年の降雨災害多発のことを考えると直ぐにでも必要なものに見えるようです。

タイムラインは言葉通り、水害発生を想定した行動を時系列に整理し、スケジュール化したもので、職場に張り出しておけば必ず役に立つものです。ただし、各企業の現状を入念に調査しておかないと机上に空論になりかねません。次の調査をしてから作られることをお勧めします。

 

(1)ハザードマップの再確認

殆どの市町村では洪水ハザードマップが作られています。まず、そのハザードマップで会社がどのような状況にあるかを確認してください。水害対策を行うにしても、状況に合わせたことを行わないと、対策費用が無駄になります。

できれば、社員の方々のお住まいのハザードも確認し、水害発生が予測される場合は注意を促せるようにしておいてください。社員がいないと企業が成り立たないというを常に意識したBCPを策定願います。

 

(2)資産設置場所の再確認

ハザードマップで最大浸水深が想定できたら、その情報を元に関係者で企業内を実際に点検や確認を行ってください。

・電源は大丈夫か?
 電力会社で停電を解消させても、企業内に引き込む経路が破壊されていれば、事業を再開できません。

・設備や資材は大丈夫か?
 事前に資料を持ち出したり、電源オフすることで資産が守れます。
 また、水に触れることで2次災害を巻き起こす燃料や薬剤の存在も認識しておいてください。

 

(3)何を契機に動き出すかを明確に

水害が発生する前に、気象庁から何度も警報が発令されますし、河川の水位情報を確認することもできます。自治体からは避難勧告や避難指示も出されます。どのような情報をもとに動き出すかを明確に決めておいてください。いつスタートするのかを決めておかなければ、対応を始めるタイミングが遅れて、予想以上の被害を受けてしまうことになるかもしれません。
ここをどう考えるのかが、経営者の悩みになります。BCP策定の目的をもう一度見直し、ご決断ください。

 

(4)資源の見直しを

タイムラインを作成することばかりにとらわれず、資源が危険な状況が明確になったら、その保管場所を変更したり、資源自体を見直す(防水性の高いものにするなど)ことも検討してください。その際、維持費を安くする方法は無いかとか、作業効率をあげる方法は無いかと考えることが有効です。このような検討をすることで私たちが言っているハイブリッド型BCPも策定できるのではないでしょうか。

以上、私の考えを書かせていただきましたが、タイムラインを作っていて良かったという報告は受けないに越したことはありません。災害の少ない世の中を望みます。

 

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