• 2017年06月08日BCPセミナー(島根県中小企業団体中央会主催)で対策例を紹介

    平成29年5月19日(金)に協同組合松江流通センターの組合会館を会場としたBCP(事業継続計画)セミナーが開催されました。

    このセミナーは島根県中小企業団体中央会が主催したもので、弊社は協力団体として企画から運営までご協力させていただきました。

     

    民間企業向けのBCPセミナーは島根県内では久しぶりということもあり、定員80名のところ、ほぼ定員一杯のお申込みをいただきました。

     全体

    参加者で一杯となったセミナー会場

     

    当日は3名のスピーカーからの情報提供をいただいています。

    ラストスピーカーは弊社BCPコンサルティンググループ長の細田太一が務めさせていただきました。

     

    今回はこのセミナーの内容をレポートいたします。

     

     

    熊本地震の際の災害物流の課題とは?

    今回は熊本地震からの1年目、そして鳥取県中部地震から半年という節目の時期であったこともあり、この2つの地震災害で課題となった災害物流について取り上げました。

    災害物流の対応と言うと、主に行政の応急対策の一つと位置づけられます。

    そのため、県や市町からも多数の職員の方がセミナーにご参加されました。

     

    ただし、実際に動くのは運送会社や倉庫業社、卸売や小売業等であることから、熊本地震における災害物流の情報には会場となった松江流通センター内の参加者にも多いに参考になる情報があると考えていました。

     

    この熊本地震における災害物流について語っていただいたスピーカーは、主に行政の防災対策に関する専門研究機関である「人と未来防災センター」の研究主幹である宇田川氏。

    宇田川

    人と未来防災センター研究主幹 宇田川真之氏

     

    1時間15分の時間を一杯をお使いいただき、主に熊本地震の時の広域的な支援物資の流れやの状況と課題について詳しくご説明いただきました。

     

    宇田川氏は今年の3月に内閣府が発行した広域受援ガイドライン策定の委員にもなっていらっしゃいます。

     

    近年の大規模災害時における広域的な災害物流では、

    • 多数の組織が関連することから連携が複雑であること
    • 対応する自治体職員に物流に関連する業務の経験がほとんど無いこと
    • 被災地外から大量に入ってくる物資の受入れは容易ではないこと

    といった課題が見られています。

     

    そのため、被災地への物資供給を行う場合には、


    行政職員が不慣れな物資の受入れや仕分け等はやらない

    それらの作業は物流業者に任せ、行政職員でなければならないことに注力すること

    広域的な物資受入れのための物流拠点はトラックが入れることが条件であること


    品目の名称や数量の単位は統一する

    と言った注意点が具体的に次々と紹介されました。

     

     

    BCPを作った組織の対策例

    2人目のスピーカーは株式会社藤忠の代表取締役藤原勝氏。

    細田

     株式会社藤忠 代表取締役 藤原 勝氏

     


    同社は協同組合松江流通センターの組合員で、平成25年度に協同組合松江流通センターが組合全体のBCP策定に取り組んだ際、自社のBCP策定に取り組んだ企業の1社です。

     

    藤原社長からは、BCP策定後に行っている自社の取組みについての紹介がありました。

    同社ではBCPを策定した後、社内の体制を改善していくために人事制度を見直したり、受発注システムの改善等を進めていらっしゃいました。

    また、組合主催のBCP策定集合研修で利用したBCP雛形に、自社に必要な要素を追加し続け、さらにたびたび社員に内容の教育と注意喚起を行っています。


    先日の北朝鮮によるミサイル発射の可能性が高まった時には社員にBCP発動の可能性を伝えるなどリスクに対する高い感度をもって日常の仕事を進めていらっしゃいました。


    同社の事例は防災的な取組みを熱心にやっているというよりは、会社を強くしていく、改善していく取組みが「自然と」非常時にも強い組織づくりに繋がっていると感じました。

    これが中小企業が行うべき、事業継続への備えとよく理解できた事例紹介でした。

     

     

    平時と非常時の両面への備えを組織が行うためには?

    最後は弊社のBCPコンサルティンググループ長の細田が、「平時と非常時の両面に活きるBCPの構築と改善方法」と題して、話をさせていただいています。

     宇田川

    弊社BCPコンサルティンググループ長 細田 太一

     

    参加者にとって興味深かったと思われるシミュレーションは、大規模災害が発生した場合、周辺の事業者は自社が被害を受けても助けてくれない・・・というものでした。

    参加者に手上げ方式で行ったアンケートでは、自社に被害が発生した場合、近隣から支援の要請があってもそれに応えるという参加者は少なかったという結果になりました。

    ということは、裏を返せば、自社が被害を受けて周辺に助けを求めたとしても、周辺の事業者は助けてくれないということ。

    つまり、災害が起きた後の対応は、自社単独で行う必要があるということを認識していただきました。

     

    また、平時と非常時の両面に活かすBCP策定とその運用の5つのポイントとして

    • 目的を正しく設定する
    • 経営層を巻き込む
    • 運用方法を決める
    • BCPの教育・訓練を行う
    • 日常の活動にメリットを産み出し

    を紹介しています。



    平時・非常時の両面に備える戦略のイメージをご説明させていただくと同時に、組織の成長戦略上におけるBCPの位置づけやBCPに取り組むことによってイノベーションを起こしていくために弊社が開発したフレームワーク(枠組み)等もご紹介させていただきました。

     

    最後に

    今回のセミナーにご参加いただいた皆様からは、

    • 具体的な実践事例を聞く機会が貴重だった
    • すぐに実践できる内容が多数紹介されていた
    • BCP策定後の見直しの必要性を認識する良い機会だった
    • わかりやすい内容だった

    等の感想を多数いただきました。

    そこで、このセミナーがBCPに取り組んでいらっしゃる、あるいはご興味のある皆様にとって、有益な場になったようです。

    特に今回神戸からおいでいただいた宇田川氏から提供された熊本地震の災害対応の詳細な情報については、事業の分野が違う企業の皆様にとっても多いに参考になっていたようです。

     

    今回、弊社は島根県中小企業団体中央会様が主催する本BCPセミナーに協力させていただきましたが、今後もBCPをはじめとする組織のリスク対策に関する情報発信を続けていきたいと考えています。

     

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